忘備録6

2023、11/5、日曜日、12:16、東京は今日も晴れ、なんとなく暑い

 

忘れた

 

何を書こうか忘れてしまった

スッポリと無くなってしまった

怖いな

母が認知症だったから

 

最近は

歳の離れたいとこが

仕事を辞めて半年

認知症になった

まだ早すぎるよ

 

1日に何度も電話をかけて来る

私の名前が一番上にあるから

 

「電話くれた?」

違うよ

電話くれたのはあなた

あなたがかけたから

私の名前が1番上にあるんだよ

わからないか

忘れてしまうんだもの

仕方ない

それが認知症

 

電話で

「友達ができないよ」

「全然馴染めない」

「意見が合わないんだよ」

「感覚が違う」

「そっちに帰りたい」

みんなと話が合わないようだ

生きている時代が

過去にタイムスリップしているせいかな

お嫁さんの実家の近くに行くことにしたのもうろ覚え

決めたのはあなたなのに

 

「そっちに帰りたい」

「帰ろうと思う」

 

こっちにもう帰る家はないよ

両親がもういないことを告げたらびっくりしていた

何もかも忘れてしまうね

 

電話

年賀状をくれた人の名前を読んでわたしに訊かせる

「知ってる?」

「知らない」

「知ってる?」

「知らない」

わたしに訊いてもわからないよ

「知ってる?」

「それわたし」

嬉しそうに

「そっか」

「夏休みの宿題手伝ったよね」

「うん」

もうわたしは小学生ではないけれど

 

 

私も同じになるかもしれない

 

今からびくびくしているけど

何もかも忘れてしまったら

どんな感じだろう

 

皆に迷惑をかけるけど

 

みんな忘れてしまうと

楽になるのかも

生きているって苦しいことも沢山あるよね

自分の失言で悩んだりして

他人に言われたことでくよくよしたり

 

認知症になったら

都合よく悩みも忘れてしまえるのかな

嬉しかったことも忘れてしまうけど

頭の中は雲の中のように

モヤモヤフワフワになるのかな

何もない記憶

たまーに出て来る昔の思い出

 

どんな気持ちなんだろう

知らない世界

不安だ

不安も忘れてしまうのか

 

病院で車椅子の高齢のお母さんに怒鳴っているおじさんを見かけた

おじさんは多分息子だ

「言ったじゃないか!」

「なんで忘れるんだ!」

お母さんは

「だって今行きたくなったんだよ」

お母さん、トイレに行きたくなったようだ

子供と同じだ

大丈夫と言っていても

大丈夫じゃなくなる

おじさんお母さんさんに期待しすぎ

もうお母さんの役目は終わってるんだよ

 

親切な看護師さんが近づいて

連れて行ってくれた

 

おじさん椅子に座ってションボリと頭をかいていた

おじさん、ずーっとお母さんに甘えて生きてきたんだね

 

 

わたしが認知症になっても

優しくしてください

忘れた事を

怒らないで下さい

 

どうしていいかわからなくて

とりあえず認知症保険に入った